設立時社外取締役は存在しない?

今日は、設立時社外取締役について書きたいと思います。マニアックな話です。

調べても出てこず、ズバリ存在する/しないという情報がなかったので、私見になります。

かなり細かい話になりますし、そこまで考える必要あるのか、という話もあると思いますが書きたいので書きます。

結論としては「設立時社外取締役」は存在しない、というのが結論です。

設立時取締役の定義は

まずは、設立時取締役の定義です。

「設立時」取締役とは設立に際して取締役となる者をいい・・・神田秀樹(2017)『会社法』 p52,弘文堂.


とあるので、会社の設立時までの間の取締役を「設立時取締役」といいます。

法務局に設立関係の書類を提出した瞬間に、会社は設立されたことになる(準則主義)ので、設立時取締役はその瞬間から(設立後の)取締役になります。

ところで、設立時取締役は一体なにをするのかって話があります。

通常の取締役は経営者なので、会社の業務執行の決定・業務執行などを行いますが、設立時取締役はそもそも会社がまだ出来ていないので、それらをすることはありません。

設立時取締役の役目は条文に書いてあります。
1)設立時事項の調査など(46条・93条)
2)設立時代表取締役の選定・解職(47条)
など、非常に限定的なものになります。

会社が設立されるまでは、そのプロセスのほとんどの行為は発起人が行うので、設立時取締役の担当は少しだけなんですね。

設立時取締役と(設立後の)取締役の担う任務は全く別物っていうことがわかりました。

設立時社外取締役に戻ります。

では設立時社外取締役が『仮に』存在していたとしたら、どんな任務を担うのでしょうか。

答えは、何もない、です。

社外取締役の役割は、一言でいうと「取締役を至近距離から監視する」ですが、設立時社外取締役がいたとしても、その任務は全くありません。

会社成立前なので取締役の業務執行も何もなく、監視する必要もないです。

設立時社外取締役が存在しない根拠

設立時社外取締役が存在しない根拠をごちゃごちゃ言ってますが、条文にも設立時社外取締役についての記載がないので設立時社外取締役はそもそも存在しないという結論です。
担当業務もありませんしね。

ちなみに余談ですが、取締役などの役員の場合は「選任・解任(341条)」といいますが、代表取締役については「選・解(362条)」と使い分けられます。

会社法は、「選任」は新たに役員になる場合、「選定」は既に役員の地位にある者に、一定の権限・地位を更に付加する場合と、文言を使い分けています。

373条1項に特別取締役について書かれていますが、ここでも「選定」が使われています。既に取締役であるものが取締役会で特別取締役に選ばれているからですね。

商事法務をやっている身としては、こういう細かな文言も意識して、就任承諾書や株主総会議事録などの書類を作成しています。

(設立後の)社外取締役について

設立後、社外取締役の要件にあたる場合は、常に社外取締役になるのでしょうか。

答えはNOです。

社外取締役とは、社外取締役の要件に該当する者であって、積極的に社外取締役として選任された者のことをいいます。相澤哲(2008)『論点解説 新・会社法~千問の道標~』 p444,商事法務.

ということなので、社外取締役の要件に該当する場合であっても、常に社外取締役になるわけではありません。

また、登記に関しては以下の場合だけ「社外」取締役として登記することが可能です。

1)特別取締役による議決の定めを設定した時
2)監査等委員会設置会社の時
3)指名委員会等設置会社の時

内部的にAさんを社外取締役とした場合であっても、登記に現れるのは上記3点の場合だけです。

まとめ
設立時社外取締役についての資料がなく、条文などから設立時社外取締役は存在しないと結論付けました。もし、設立時社外取締役は存在するという根拠などありましたら、教えていただければと思います。

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